2007 Fiscal Year Annual Research Report
量子情報処理に向けた原子スピン集団と光量子状態間の量子インターフェースの確立
Project/Area Number |
07J01927
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高野 哲至 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | スピンスクイジング / 量子インターフェース / 量子非破壊測定 |
Research Abstract |
光と原子の間のスワッピングゲートを考案した。これは、これまで不可能と考えられてきた実験であるが、近年の劇的な技術の発展を踏まえて系を再検討し、最新の理論によって量子ゲートの性能を再評価した結果、十分に実現可能であることが分かった。実験では、核スピン気体171イッテルビウムに対して、スピンの量子非破壊測定によるスピンスクイジングを実現した。171イッテルビウムは、これまでの実験で用いられてきたセシウムと異なり、基底状態に電子スピンを持たないため、外部磁場の影響を受けにくい。また、近年、スピン1/2以外の原子に対する高次の相互作用の影響が問題視されているが、171イッテルビウムはスピン1/2の原子であるため、このような問題に影響されない。このような特徴から、特にその応用性において、これまでの実験を凌駕する実験系が構築できたといえる。さらに、実現したスピンスクイジングの特性を調べるため、原子数・光子数を変えて、相互作用に対する依存性を調べ、理論と矛盾しない結果を得ることができた。測定の際に、原子を初期化し続けることによりスクイジングの特徴である偏光の相関が消失するのを確認した。この結果は、スピンと偏光の間の量子インターフェースの実現を意味しており、研究は劇的に進展したといえる。さらに、スワッピングゲートへこの実験系を適用するために、ディレイラインを構築し、200nsのパルスの遅延、遅延パルスの偏光のショットノイズ測定、遅延パルス光によるファラデー回転の観測に成功した。また、原子スピン状態のより詳細な観測のため、共振器を増設し、共振器に共鳴したパルス光を通じてファラデー回転を測定することによって成功した。
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