2009 Fiscal Year Annual Research Report
サイコクカマアシムシの発生学的研究-六脚類の高次系統・グラウンドプランの再構築-
Project/Area Number |
07J01930
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
福井 眞生子 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 比較発生学 / 六脚類 / 内顎類 / カマアシムシ目 / 内顎口 / 漿膜 |
Research Abstract |
「内顎類・外顎類システム」(「内顎類[=欠尾類(=カマアシムシ目+トビムシ目)+双尾類(=コムシ目)]+外顎類[=単関節丘類(=イシノミ目)+双関節丘類(=シミ目+有翅昆虫類)]」)は六脚類の高次系統体系として広く受け入れられてきた。近年様々な分野から、「内顎類」のステータスや構成群の類縁に関し、問題点が指摘されてきたが、議論は定まっていない。節足動物の高次系統は、鋏角類+大顎類[=甲殻類+欠第二触角類(=多足類+六脚類)]という従来の体系に対し、近年の分子系統学の多くが汎甲殻類(=甲殻類+六脚類)を支持するなど、混迷を極めている。 本研究の目的は、六脚類の最ベーサル・クレードと目されるカマアシムシ目の発生学的知見を初めて明らかにし、昆虫類の高次系統を比較発生学的に明確に再構築することにある。 本年度は研究の総括に取り組んだ。内顎口形成においては、大顎・小顎・下唇体節背板由来の口褶が左右で融合することによる内顎口形成を確かめ、内顎類の多起源説を強く支持した。また神経幹細胞による神経形成、卵黄細胞による中腸上皮形成をはじめて明らかとした。特に漿膜細胞に六脚類内で唯一の1)漿膜の分裂能、2)漿膜の胚分化能が見出された事は大変重要であり、この目が従来考えられてきた以上に、祖先的な系統群である事が示唆された。以上を系統学的に総括し、【多足類/甲殻類+カマアシムシ目+[トビムシ目+(コムシ目+外顎類)]】という、全く新規の六脚類の系統仮説を導いた。ここにおいて、カマアシムシ目、多足類/甲殻類およびカマアシムシ目の六脚類は多分岐となり、今後は節足動物の高次系統のシャッフルをも見据えた議論が求められる。
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Research Products
(4 results)