2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01958
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 佑輔 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルゴリズム / 点素パス / 誘導部分グラフ / 誘導サイクル / 平面グラフ / ジャンプシステム / 偶因子 / 離散凸関数 |
Research Abstract |
本年度の研究の主な成果は,分類すると,誘導点素パス問題,誘導サイクル問題に対するアルゴリズムを与えたこと.効率的に解ける具体的な問題とマトロイド構造との関係を示したこと.の2点である. グラフ中で,指定された頂点を通るパスやサイクルを見つける問題は,点素パス問題やハミルトンサイクル問題といった有名問題を初めとして,様々な形式の問題が研究対象となっている.本研究では,これらの問題の自然な拡張として,見つけるパスやサイクルに「誘導部分グラフである」,すなわち「互いに隣り合う頂点を通らない」という条件を加えた問題を扱った.本年度の研究では,まず,前年度の研究に引き続き点素パス問題の拡張である誘導点素パス問題の様々なバリエーションに対して計算複雑度を明らかにした.そして,指定された頂点を通る誘導サイクルを見つける問題(誘導サイクル問題)に対する効率的なアルゴリズムを与えた. マトロイドは離散数学において盛んに研究されている離散構造であり,その一般化として導入されたジャンプシステムは数多くの効率的に解ける組合せ最適化問題を含む枠組みである.本研究では,近年多項式時間で解けることが明らかにされた組合せ最適化問題である「最大偶因子問題」と「スクエアフリー2-マッチング問題」がジャンプシステムと深く関係していることを示した. また,これらの重み付きの問題と離散凸関数との関連も明らかにした.組合せ最適化における最先端の研究対象であるこれらの問題とマトロイド構造との関係を明らかにしたことは,マトロイド構造の重要性を強調するものである.本研究の結果は,未解決の組合せ最適化問題に対してジャンプシステムや離散凸関数の理論が適用できる可能性を示唆するものである.
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Research Products
(10 results)