2009 Fiscal Year Annual Research Report
幕末百姓の養子慣行――江戸地廻り経済圏一山村における世帯と村落の再生産――
Project/Area Number |
07J01969
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸石 七生 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 百姓株 / 養子縁組 / 村落共同体 / 入会 / 飢饉 / パターナリズム / 組 |
Research Abstract |
本研究の目的は前近代の養子縁組を家制度のみならず村落共同体の観点から分析し、その地域社会における意義と仕組みを明らかにすることである。平成21年度は19年度、20年度の成果に加え、(1)定性的研究、(2)定量的な実証分析の3つの分野にわたる手法を用いて前近代日本の養子縁組制度にアプローチを試みた。詳細を以下に示す。 (1)「昭和一一年(1936)に106ヘクタールに及ぶ旧上名栗村の共有林の経営が株式会社化された際、株式が旧上名栗村の全世帯を対象に売却された(林業発達史研究会『西川林業発達史』)。共有林は近世の入会地に相当し、入会権は百姓株と深い関係があると考えられるため、名栗村史編纂を担当している筑波大学の加藤衛拡教授(飯能市大字下名栗出身)に意見を求めた。その結果、旧上名栗村で入会の株式が売却されたのに対し、旧下名栗村では入会の株式が村民に無償で分配され、現金化されることがなかったこと、また旧上名栗村では世帯当たり株の買い取り数に数百から数分の一株まで非常にばらつきがあったのに対し、下名栗村では世帯あたり一株と非常に平等に分配されたことが判明した。 (2)報告者は吉田あつし教授(筑波大学)との共同研究において、組と呼ばれる近隣ネットワークにおけるパターナリズムが飢饉の際世帯(=株)の持続性に及ぼした影響を推定し、養子縁組が盛んに行われた社会経済的な背景について考察した。
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Research Products
(5 results)