2008 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙におけるバリオン非対称性及び暗黒物質の起源に関する研究
Project/Area Number |
07J01988
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 和則 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 暗黒物質 / 宇宙線 / アクシオン / 宇宙背景放射 / 重力波 |
Research Abstract |
宇宙のエネルギーの主要な部分を占めている暗黒物質の正体を探るべく、暗黒物質の直接・間接検出可能性について研究を遂行した。まず、暗黒物質の初期宇宙での生成過程に着目し、もし非熱的過程で生成された場合には、暗黒物質の対消滅で生じるガンマ線や陽電子の観測によって信号が検出される可能性があることを示した。また、最近のPAMELA衛星における宇宙線陽電子超過成分の観測がこのような非熱的暗黒物質の対消滅起源と解釈され得ること、及びそのような模型がスーパーカミオカンデ等におけるニュートリノ観測で検証可能であることを明らかにした。また、そのような模型がビッグバン元素合成に与える影響も詳細に評価した。 近年、宇宙論的密度揺らぎの持つ非ガウス性の観測が注目を集めている。もし非ガウス性が有意に検出されれば、密度揺らぎの起源としての単純なインフレーション模型に修正を要するからである。特に我々は暗黒物質の持つ等曲率揺らぎの非ガウス性に注目し、宇宙背景放射の温度揺らぎへの影響を調べた。その結果、暗黒物質の有力な候補の一つであるアクシオンが、非ガウス性の観測によって検証される可能性があることを指摘した。また、ある種のバリオン非対称性生成機構において、バリオンが等曲率揺らぎを獲得し、その非ガウス性の観測がバリオン数の起源の有力な証拠となり得ることを証明した。 また、将来の重力波干渉計における背景重力波の観測によって、宇宙の再加熱温度を決定し、それによってグラビティーノが暗黒物質であるかどうかを検証することが可能であることを示しか。
|
Research Products
(27 results)