2008 Fiscal Year Annual Research Report
微生物を宿主としたコンビナトリアル生合成法による非天然型ポリケタイドの網羅的生産
Project/Area Number |
07J01990
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勝山 陽平 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 植物ポリケタイド / コンビナトリアル生合成 / III型ポリヶタイド合成酵素 / クルクミノイド |
Research Abstract |
(目的) 植物ポリケタイドはフラボノイド、スチルベンやクルクミノイドに代表されるように高い生理活性を持つ化合物群である。これらの化合物はすべてIII型ポリケタイド合成酵素によって生合成される。また、コンビナトリアル生合成法とは人為的に生合成経路を構築することでこれまで存在しなかった新規な非天然型の天然物を生産する手法である。本研究はIII型ポリケタイド合成酵素を用いたコンビナトリアル生合成法により、従来よりも生理活性の高い新規な植物ポリケタイドの生産をすることを目的としている。この目的を実現するためには幅広ポリケタイド合成酵素群のライブラリーとそれらの詳細な機能解析が必要不可欠である。そこで、ゲノムマイニングなどの手法を用いて新規なIII型ポリケタイド合成酵素をスクリーニングし、発見された新規なIII型ポリケタイド合成酵素を用いて非天然型植物ポリケタイドの網羅的生産を行う。 (方法と結果) ハウス食品との共同研究によりウコンより新規なIII型ポリケタイド合成酵素、4種を取得し機能解析を行った。すでに既存のデータベースに存在するEST配列を用いてプライマーを設計し、III型ポリケタイド合成酵素をコードするcDNAを3種クローニングした。また、III型ポリケタイド合成酵素の保存領域をもとにディジェネレートプライマーを設計し、それらを用いたことで得られた増幅断片をもちいて5'-RACE,3'-RACEを行いIII型ポリケタイド合成酵素をコードしたcDNAの全長配列を取得した。得られたcDNAはすべて異なるIII型ポリケタイド合成酵素をコードしていた。これらの遺伝子を大腸菌を用いた組み換えタンパク質として調製しin vitroにおいて様々なCoAエステルと反応させることで機能解析を行った。その結果、それらのついの1つはfemloyl-CoAとmalonyi-CoAよりferuloyldiketide-CoAを合成するジケタイド合成酵素(DCS)であることが明らかとなった。また、残り3つのIII型ポリケタイド合成酵素はferuloyl-CoAとferuloyldiketide-CoAよりクルクミンを合成するクルクミン合成酵素(CURS1,2,3)であることが明らかとなった。DCSとCURSを同時に反応を用いたところ、これらの酵素はferuloyl-CoAとmalonyl-CoAよりクルクミンの生産を行った。これらの結果から、DCSとCURSはウコンにおいて共同してクルクミノイドの生合成を行っていると考えられる。また、これらの酵素はいずれもこれまで報告されていない新規活性を持った酵素であり、コンビナトリアル生合成の新しいツールとすることができる可能性がある。
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Research Products
(2 results)