2007 Fiscal Year Annual Research Report
広域分散計算機環境における並列アプリケーションの適応的な支援
Project/Area Number |
07J02007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 秀雄 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 並列計算 / 分散処理 / 広域環境 / グリッド / NAT / ファイアウォール / 接続管理 / MPI |
Research Abstract |
グリッド環境用の通信ライブラリのための接続管理手法を提案した。グリッド環境では計算資源が複数のLocal Area Network(LAN)にまたがり、LAN間の通信はしばしばフラァイアウォールなどによって限られている。そこで、提案手法ではオーバレイネットワークを構築することによって、直接通信できないノードも他のノードを介して通信できるようにする。オーバレイネットワークを構築する際に、ノード間で密に接続を確立すれば通信性能は高くなるが、スケーラビリティが低下してしまう。特に、LANをまたぐ接続を多数確立すると、ファイアウォールが記憶できるセッションの数の制限に触れてしまうなどの問題がある。そこで提案手法では、ノード間の遅延に基づいて、近いノードの間では多数の接続を確立する一方、遠いノードの間では少数の接続しか確立しない。これによって通信性能を大きく犠牲にすることなくLANをまたぐ接続を大幅に削減できる。提案する接続管理手法を用いて、並列計算でよく用いられるAPIであるMessage Passing Interface(MPI)のライブラリであるMulti-Cluster MPI(MC-MPI)を実装した。評価はMPIライブラリの性能評価によく用いられるNAS Parallel Benchmarks(NPB)を用いて行った。4クラスタにまたがる256実ノード上でNPBを実行したところ、MC-MPIは10%のプロセス対でしか接続を確立しなくても全プロセス対で接続を確立した場合と同様もしくはそれ以上の性能が出た。現在は提案手法をMPIからSocket APIに拡張することによって、MPIアプリケーションに限らず、様々な並列アプリケーションをグリッド環境で高速且つスケーラブルに実行できるようにすることを目指している。
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Research Products
(3 results)