2007 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本ゲイコミュニティの社会学:セクシュアリティと「文化」の関係をめぐって
Project/Area Number |
07J02016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森山 至貴 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | セクシュアリティ / マイノリティ / コミユニティ / クイア理論 / 社会学 |
Research Abstract |
2007年度は、論文および種々報告書の執筆を中心に研究を実施した。 「個体化主義の陥穽-佐倉智美『性同-性障害の社会学』を読む-」(書評ソシオロゴス(3))では、現代社会におけるゲイ男性やその他のセクシュアルマイノリティをめぐる言論状況において、セクシュアリティの対他的な側面、すなわちセクシュアリティのもつ集合的な、ないし社会的な側面が看過されていることを指摘し、社会学的がまさに社会学の方法論でもってセクシュアルマイノリティの問題を研究することの必要性を論じ、その指針を提示した。 その上で、実際にセクシュアリティの対他的な側面を重視した実証研究として「技法としての「性的差異」」(相関社会科学(17))および「「性的差異」の技法化に向けて-タチ/ネコという用語系を手がかりに-」(日本社会学会、口頭発表)を行った。 セクシュアルマイノリティについて社会学的に論じる際、セクシュアリティを単なる性的な現象としてのみ把握するのではなく、当該マイノリティ集団の「文化」的な営為と関連づけて把握する必要がある(これが研究者独自の視点である)。そのため、セクシュアリティと「文化」の関係性を捉える研究として、ゲイ雑誌『Badi』の分析を行った。結果、ゲイにとってのライフスタイルをめぐる研究に焦点化することの意義を確信したため、より重点的に研究を行い、論文としてまとめた(2008年度刊行予定)。 また、今年度の総括として、以上の研究を包括する理論的枠組みの設定の必要性を痛感したため、理論的枠組みについて述べる論文(すでに査読済み、2008年9月刊行予定)を執筆した。この論文は、今年度年度以降の研究者自身の研究においても参照されるべき枠組みとしての意義を持つものである。 なお、以上のような執筆活動に並行して、実証的なデータを積み上げるためのインタビュー調査を行った。引き続きインタビューを行い、2008年度には論文の形で発表する予定である。
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Research Products
(4 results)