2007 Fiscal Year Annual Research Report
印刷法による有機トランジスタの製造と大面積センサへの応用
Project/Area Number |
07J02024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 儀晃 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機トランジスタ / 大面積エレクトロニクス / 印刷プロセス / インクジェット印刷 |
Research Abstract |
平成19年度は有機トランジスタの電極部分を印刷技術により微細に作製する研究を進めた。金属微粒子を有機溶剤に分散させたインクをインクジェット印刷により描画することで微細な金属配線を形成し、それを有機トランジスタの電極部分に応用することを目指した。インクジェット印刷などの印刷プロセスはインクのにじみにより微細なラインを描画することが困難である。この課題を解決するため、インクジェット装置の圧電素子に印加する電圧の波形の制御と描画時の基板温度の最適化を行うことで電極のライン幅をこれまでの限界である100μmから40μmまで微細化することに成功した。 この微細な金属配線を有機トランジスタの電極層へ応用した。応用する上での問題点はインクに含まれる溶剤の有機半導体へのダメージとインクの乾燥温度である。使用した金属インクは180℃〜250℃に加熱することで導電性を示すが、この温度は有機半導体層にダメージを与える。今回、インクジェット装置の電圧制御により吐出インクの体積を減少させ、溶剤の蒸発速度を上昇させ、溶剤が有機半導体に影響を与える時間を短縮した。この結果、溶剤のダメージが低減されたというデータを実験から得られた。また微少液滴を用いることでインクの乾燥温度が低下し、窒素雰囲気下130℃の加熱処理により数百μΩ・cmという高い導電性を得た。これらの実験結果から電極幅50μm、電極間隔11μmという微細な有機トランジスタをプラスティックフィルム上にインクジェット印刷技術を用いて作製し、電界効果移動度0.3cm^2/Vs、オンオフ比10^6(高いほど性能が良い)という良好な特性を得ることができた。 これらの研究成果は2007年秋の応用物理学会および2008年春の米国材料学会で発表を行い、国内外の多くの研究者の関心を集め、現在Applied Physics Letterに投稿中である。
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Research Products
(4 results)