2009 Fiscal Year Annual Research Report
印刷法による有機トランジスタの製造と大面積センサへの応用
Project/Area Number |
07J02024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 儀晃 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機トランジスタ / 大面積エレクトロニクス / 印刷プロセス / インクジェット印刷 |
Research Abstract |
本研究の目的は、真空プロセスやフォトリソグラフィーを用いずに、オール印刷プロセスによって、センサ用途の大面積有機トランジスタアクティブマトリックス(30・30cm2)の作製技術を確立することである。有機トランジスタの作製には、インクジェットとスクリーン印刷を組み合わせて用いる。始めに有機トランジスタの有機半導体層を印刷技術によって作製する。これまでの研究から有機半導体層を除くすべての部分を印刷法により作製することに成功した。よって有機半導体層の印刷法による作製に取り組む。有機トランジスタ1素子をすべて印刷技術で作製し、センサ用途に必要な性能を得ることを目標とする。次に約30cm角のシート上に2000個程度のトランジスタ(5dpi)を配置した有機トランジスタマトリックスを製造する。封止膜により大気中での安定動作を実現し、センサとの集積化を行う。本研究では感圧導電ゴムとの集積化により大面積圧力センサを作製し、30cm角、全2025点の圧力イメージを得ることを目指す。 本年度は印刷技術を用いて作製した有機トランジスタの周波数性能の評価、向上に取り組んだ。前年度までの成果によりプラスティック上に有機トランジスタマトリックスアレイを製造するプロセスはほぼ確立し、圧力センサの試作実験にも成功していた。この試作実験により1シートあたりのスキャン速度をほぼ一定に保ちつつ、より大面積のシートでイメージングを行うためには圧力センサ1素子ごとの動作速度を向上が要求されることが分かった。実用に向けて今年度は有機トランジスタの周波数性能を向上する。周波数特性を比較する指標は色々存在するがトランジスタ単体の周波数特性の評価には電流利得遮断周波数を求める必要があった。有機トランジスタは無機トランジスタに比べ、移動度が低く電流量が小さいため電流利得遮断周波数測定に必要な電流量を得ることが困難であった。また線幅数十μmと、大きな電極間に存在する寄生容量による動作速度の低下も課題点となる。電流量は有機トランジスタの電極間隔に比例する。 今年度は、サブフェムトリットル(フェムトは10の15乗分の1)という微細な液滴を塗布するインクジェット技術を用いて印刷電極における電極間隔をこれまでの40μmから5μm以下にまで狭めることに成功した。これにより電流利得遮断周波数の測定が可能となった。電極幅もこれまでの30μmから10μm以下に作製可能となり電極間の寄生容量の低減が予想され、また寄生容量の低減に加えて有機トランジスタの動作速度は電極間距離の2乗に反比例するため周波数特性面での向上を採用した。前年度の有機トランジスタの低電圧動作の研究を進めつつ、電流利得遮断周波数の測定系を構築し、動作周波数1MHz、駆動電圧3Vの有機トランジスタをインクジェットで作製した。前年度までの成果と比べて、上記の課題を克服し、圧力センサだけでなく、より高速動作を求められる光センサなどへ応用可能な有機トランジスタを製造する技術を確立した。
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Research Products
(3 results)