2007 Fiscal Year Annual Research Report
Poly(A)結合タンパク質PABPによる翻訳制御機構の解明
Project/Area Number |
07J02032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 駿輔 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 翻訳制御 / mRNA / Poly(A)結合タンパク質 / NMR |
Research Abstract |
平成19年度は、PABPのN末端に存在する4つのRNA結合ドメイン(RRM)が、C末端のPABCドメインとRRMをつなぐリンカー領域と、poly(A)結合依存的に相互作用することを示し、この相互作用をNMRを用いてさらに解析した。 リンカー領域を4つの領域に分割したコンストラクトを作成し、N末端側よりそれぞれLt1(残基番号371-430)、Lt2(残基番号421-470)、Lt3(残基番号461-510)、Lt4(残基番号501-543)と命名した。これらのペプチドを均一^<15>N標識体として大腸菌にて発現・精製したサンプルをそれぞれRRM1234-poly(A)複合体と混合して^1H-^<15>N HSQCスペクトルを測定することで、これらのペプチドのうちどれがRRM1234-poly(A)複合体と相互作用するかを検証した。その結果、Lt1からLt4の中ではLt2のみでシグナルの消失が観測されたことから、リンカー中でRRM1234-poly(A)との相互作用に主に関わっているのがこの領域であることが示された。さらに、RRM1234中のどのドメインとリンカーが相互作用しているのかを調べるため、リンカーとRRM12-poly(A)またはRRM34-poly(A)の相互作用を調べた結果、リンカーはRRM12とより強く相互作用していることが明らかとなった。この結果がLt2を用いた実験でも再現されたことから、PABPの分子間相互作用に関わる最小領域がRRM12とLt2であることが示された。 今後この相互作用を構造生物学的に解析しPABP多量体の構造モデルを作成することで、PABPによる翻訳制御の機構を明らかにすることができると期待される。
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