2007 Fiscal Year Annual Research Report
不均質構造における散乱理論に基づく高周波強震動予測法の開発と適用
Project/Area Number |
07J02043
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
澤崎 郁 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | コーダ波 / デコンボリュージョン / 地盤浅部の不均質性 / 地震波速度の時間変化 |
Research Abstract |
今年度は,強震後の地盤の回復過程に関する研究を発展させた.Silva (1976)による伝達行列法に基づき,水平成層構造中に等方的かつランダムに波が入射する場合(コーダ波)における地表と地中の波動場の計算法を構築した.その手法を用いて,地表および地中コーダ波記録の平均デコンボリュージョンを計算し,その観測値と理論値との比較から,地盤の水平成層速度構造を推定する手法を開発した.同手法を,2000年鳥取県西部地震による強震動を記録したKiK-net伯太観測点において取得された小地震記録に対して適用した.その結果,強震動を受けた数分後には地表から深さ100mまでの範囲においてS波走時が約17ms上昇し,その後1年以上をかけて,経過時間の対数に比例しながらS波走時が回復することを明らかにした.また,回復過程に異方性が生じる場合があることも示した.これら一連の研究成果を,日本地震学会秋季大会,AGU Fall Meetingなどの国内外の学会で発表した.現在はその成果を論文にまとめ,海外の雑誌に投稿する準備を進めている. 上記の研究の結果,地盤直下では速度の不均質性が強く,前方散乱近似に基づくエンベロープを適用することが難しいこと,非常に強い地震動を経験した観測点では非線形応答の影響が無視できないことなどが分かった.そのため,本研究課題である高周波強震動予測法を確立するためには,地盤浅部の情報を可能な限り取り入れる必要があることが明らかとなった.これらの知見をもとに,今後,水平成層構造中に波が入射した場合の地表におけるエンベロープを合成して,より現実的なエンベロープグリーン関数の計算法を構築する予定である.
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Research Products
(5 results)