2007 Fiscal Year Annual Research Report
硬X線の高感度観測による銀河中心の広がった放射の研究
Project/Area Number |
07J02048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田村 健一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 銀河中心 / X線 / すざく衛星 |
Research Abstract |
研究目的は、「すざく」衛星を用いて、我々の銀河の中心領域において、既知の明るい硬X線点源以外に、銀河中心領域に付随する広がった硬X線放射が存在するか調査することであった。そしてもし存在する場合に、その放射スペクトルの形を精度良く決定することであった。 本研究では、既知の明るい点源からの寄与をいかに精度良く見積もるかが、広がった硬X線放射の存在を調べるための鍵を握る。そこで、「すざく」衛星搭載の硬X線検出器(HXD)の軌道上較正試験を実施し、1分の精度で角度応答関数を決定した。 次に、試験観測期間と公募観測1年目の観測データを全て用いることで、銀経±2度、銀緯±0.5度以内の領域を系統的に調べた。特に西側の領域(銀経<0度)において、第一に、既知の硬X線点源がなく点源の見積もりの系統誤差が含まれない、銀経=-1.8度の位置で、確かに硬X線放射が存在することを示した。さらに、そのスペクトルを詳細に解析することで、熱的放射から卓越する未知の放射成分が存在することを明らかにし、それがべき型の関数でよく表されることを示した。 第二に、銀経=-1.8度の位置と銀河中心の間で、寄与する既知の硬X線点源が1個のみの観測に、本研究で確立した点源の見積もりの4つの手法を統一的に扱う手法を導入した。そして見積もりの系統誤差が十分に小さいことを確認し、どの観測でも硬X線放射に卓越成分が含まれ、それがやはりべき型の関数で良く表現できることを示した。これらの結果、広がった硬X線放射のスペクトルをべき型関数で表すと、そのべきが90%エラーで1.8-2.5に含まれることが分かった。さらに、それらのスペクトルには、少なくとも30keV付近までは折れ曲がりがないことを明らかにした。本研究で得たこれらの結果は放射機構に制限を与え、未知の放射である広がった硬X線放射の起源を探るための重要な手がかりとなりうる。
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Research Products
(1 results)