2007 Fiscal Year Annual Research Report
都市開発政策の評価手法の検討:集団間・地域間格差の視点から
Project/Area Number |
07J02049
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
上野 淳子 Hitotsubashi University, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 都市再開発 / 政策評価 / 都市空間構造 / 規制緩和 / 地域格差 / 分極化 / 脱工業化 / 都市計画 |
Research Abstract |
初年度である平成19年度は、主に国勢調査や事業所・企業統計などの既存統計や行政の都市計画資料を用いて、都市開発の規制緩和(特に、2001年からの「都市再生」政策)が地域に与えた影響を検討した。 東京23区を対象にした分析では、規制緩和の対象地域を含み恩恵を受けられる区とそれ以外の区では開発の速度や量に大きな差があること、そうした開発量・速度の差が地域の高齢化や脱工業化の進展に影響し、区の税収格差をもたらしていることを明らかにした。この成果については、『日本都市社会学会年報』26号に掲載される予定である。 また、この規制緩和政策下では自治体の都市計画権限や市民参加の方途は縮小されており、国と民間事業者の影響力が増していた。この点については一部、International Sociological Association Research Committee 21 Conference 2007で口頭発表を行ったが、平成20年度以降も関係者へのヒアリング等によってそのプロセスや帰結を検討していきたい。 このほか、地域の政策・政治的環境が市民活動に与える影響についても分析を試みた。都市計画・まちづくりの分野においても市民活動団体やNPOは新たな担い手として注目されているが、分析では都市計画分野に限定せず、市民活動団体全般を活発にする社会的・政治的要因を検討した。ここから、市民活動は地域の住民属性だけでなく、政策や政治的環境によっても規定されており、開放的な政治的環境は市民活動を活発にすることが明らかになった。データの入手可能性などに問題はあるが、こうした地域分析が政策の効果を測る一手段として有効であることを示している。分析結果は日本社会学会第80回大会で口頭発表を行った。
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Research Products
(4 results)