2007 Fiscal Year Annual Research Report
藍藻毒ミクロキスティンの生成機構へ紫外線照射が及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
07J02057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 宏治 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 紫外線処理 / 藍藻類 / 藍藻毒 |
Research Abstract |
〈主な成果〉 紫外線処理に伴う藍藻毒の毒性値の変化を評価することを目的として、研究を遂行し、毒性物質の量の変化をより正確に測定できる手法を開発した。開発した手法を用い、紫外線処理によって死滅する藍藻細胞1個当たり放出される藍藻毒を定量した。これまでの手法では、紫外線処理が有する特性ゆえに、死滅する藍藻細胞数を正確に計測できなかったが、本研究ではより正確に定量できる手法を開発し、より正確な毒性物質の量を測定することに成功した。その結果、紫外線によって細胞内に存在する毒性物質を分解できることが明らかになった。 〈研究実施状況〉 1.実験に用いる藍藻類の選定 研究遂行に必要な情報を収集した上で、対象とする藍藻類を選定した。検討の結果、Microcystisの研究において世界的に広く用いられ、またその遺伝子情報も豊富であるMicrocystis aeruginosa PCC7806株を用いることとした。 2.毒性値の変化を評価するための新たな手法の確立 紫外線による藍藻毒毒性値の変化を評価するため、毒性物質レベルと遺伝子レベルで解析を行う。このうち、毒性物質の分析に関して手法を確立することを試みた。研究を進めていく過程で、細胞1個当たりの毒性物質量を定量することが困難であることが分かり、これを解決するためには、実験中に死滅していく細胞の数を正確に算出する必要があることが分かった。死滅していく細胞の数を正確に算出するため、セファロスポリンを用いた新たな培養方法を本研究にて確立した。このことによって、実験中に死滅する細胞の数を以前よりも正確に算出できるようになった。 3.本研究で確立した手法を用いた毒性値の変化の算出 確立した手法を用いて、毒性値の変化を算出した。毒性値は、セファロスポリンを用いた手法によって、毒性物質の量として算出した。算出した結果、紫外線によって細胞の中に存在する毒性物質の量が減少することが明らかになった。また、毒性物質の細胞外の濃度は変わらないことから、水系への影響を最小限に留めたまま、毒性値を減少させられることが明らかになった。この点は、紫外線処理を行う上での利点であり、今後さらに深く研究していくことが期待される点である。
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Research Products
(5 results)