2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小俣ラポー 日登美 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 迫害 / 殉教 / キリスト教 / 東西交流史 / 禁教 |
Research Abstract |
18世紀中葉、中国清代中期以降の社会において、カトリックキリスト教(天主教)は、西洋からもたらされた外来の新宗教として認識はされていたものの、邪教としても考えられたために、禁教そして追害の対象となってきた。しかし実際は、清朝の禁令以降、乾隆・嘉慶帝らによる弾圧期も、一貫して西洋人宣教師は来華し、布教は続けられ、中国社会内部のカトリック信仰は連綿と近代まで維持された。この検討の為に欠かせない一次史料が、中国社会において秘密裏に布教活動を続けていた西洋人宣教師らによる報告書簡である。 今年度は、前年度にパリ外国宣教会において行った調査に基づき、ジュネーブ大学において中国天主教禁教下における天主教観の分析発表を行った。布教に関する西洋側の書簡を、中国側の漢文史料と対照して考証することにより、従来困難とされてきた"迫害者⇔被迫害者"双方の複合的な視点を研究に導入する事が可能である。このような多角的史料に立脚した宗教研究では、古代ローマ帝国下において迫害を受けていたキリスト教会についての研究が有名である。12月には、パリで行われた古代ローマ宗教をテーマとする宗教学学会に出席し、方法論の面においても中国におけるキリスト教受容のケースがより普遍的な視座で語る可能性を秘めているか探ることができた。 こうした複眼的な清代の天主教像を明らかにすることで、清代から近代に至るまでに形成された、中国社会における宗教観・"邪教"観・西洋観を明らかにする事ができる。またこの研究課題の性格上、中国史のみならず、キリスト教史、宗教史に関わる研究者とも、学際的・国際的な交流が可能となり、中国史学の新しい方向性をさぐるものである。
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Research Products
(1 results)