2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小俣ラポー 日登美 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | キリスト教 / 迫害 / 禁教 / 殉教 / 東西交流 |
Research Abstract |
宗教改革勃発後のローマカトリックは、積極的に非西洋世界への布教を展開し、日本、中国や東南アジアにおいては16世紀以降、カトリックキリスト教は大いに普及する事になった。しかし、極東世界においては、その後一様にキリスト教への禁教政策がとられ、キリスト教は邪教として弾圧や政府の管理の対象とされ、時には非社会的性格を持つ集団として厳しく検挙された。 こうした動きは、現在、西洋のキリスト教史の文脈においては「迫害と殉教」の歴史とみなされ悲劇的観点からの理解が成されている。しかし、この「迫害」という歴史解釈は、非合理な暴力により虐げられたキリスト教徒が、宗教の名の下に犠牲になることにより、倫理上の勝利を獲得する、といった極めて宗教的な解釈であり、元々は古代ローマ帝国下で弾圧を受けながらも最終的には国家宗教となった原始キリスト教の「勝利の」歴史を、近世アジア史の文脈に適応しようとしたものである。 この歴史解釈は、禁教政策がアジアにおいて実施されていた同時代の教皇らによっても形作られたイデオロギーであり、本研究は、こうした宗教的歴史イデオロギーの検証も目的としている。
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Research Products
(2 results)