2007 Fiscal Year Annual Research Report
膜分離活性汚泥法の長期安定運転を可能とするための膜閉塞機構の解明
Project/Area Number |
07J02079
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三好 太郎 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 膜分離活性汚泥法 / 膜透過flux / 膜閉塞成分 |
Research Abstract |
本年度は、都市下水処理を行う膜分離活性汚泥法(MBR)の運転条件のうち、単位膜面積あたりの膜透過流量(膜透過flux)の差異が膜閉塞の発現機構に及ぼす影響に関して検討を行った。我々は前年度までに、膜透過fluxを高く設定することで単位処理流量あたりの膜閉塞がより深刻となること、及び同一の活性汚泥懸濁液をろ過していた場合においても膜透過fluxを変化させることで膜閉塞に関与している成分(膜閉塞成分)が異なっていたことを報告している。本年度はさらに活性汚泥懸濁液に含まれる成分を粒径によって分画し、各粒径画分に含まれる有機成分の特性と膜閉塞成分の特性を比較することで、膜透過fluxの差異に伴う膜閉塞発現機構の変化に関して検討を行った。結果として、膜透過fluxを高く設定した場合には膜孔径近傍の粒径を有する有機物が膜閉塞に大きく寄与していること、及び膜透過fluxを低く設定した場合には膜孔径近傍の有機物と膜閉塞成分の間に明確な関連性が認められないことが明らかとなった。また、膜透過fluxを低く設定した場合においては金属成分に起因する膜閉塞がより顕著となっていたことも明らかとなった。閉塞膜を様々な薬品を用いて洗浄し、各々の薬品による膜透過性能の回復率を評価したところ、膜透過fluxが高い条件で運転していた膜においては有機物の除去に効果的なアルカリ洗浄によって膜透過性能が大きく回復した一方で、膜透過fluxが低い条件で運転していた膜においては酸洗浄による膜透過性能の回復が顕著であり、アルカリ洗浄では膜透過性能はほとんど回復しなかった。これらの知見は、MBRにおける膜閉塞を抑制できる運転条件の開発及び各運転条件における最適な膜洗浄方法の探索に際して非常に有用なものであると考えられる。
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Research Products
(5 results)