2007 Fiscal Year Annual Research Report
長寿命蛍光プローブの論理設計による超高感度in vivo病態イメージングの実現
Project/Area Number |
07J02091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺井 琢也 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蛍光 / 希土類錯体 / 電子移動 |
Research Abstract |
希土類金属イオンは長い蛍光寿命を有するため、時間分解蛍光測定法の活用によって夾雑物由来の自家蛍光を排除した測定が可能となる。それ故これらの金属を用いた蛍光性錯体は、蛍光標識剤としてスクリーニングの分野で広く応用されている。しかし上記のような手法では、リアルタイムでの反応の可視化や生細胞イメージングへの適用は不可能である。そこで私は、光誘起電子移動(PeT)という現象を活用することにより、所望の反応によって蛍光強度が変化する"長寿命蛍光プローブ"が論理的に開発できるのではないかと考え研究を行い、昨年度までにタンパク質分解酵素やpHを標的とした長寿命蛍光プローブの開発に成功した。これらのプローブは血液のような系においても機能する点では有用であったが、励起波長が紫外領域に限定されるため細胞系や動物への適用には不向きであった。 そこで今年度は、より生体適合性の高い長波長領域での測定が可能な錯体を目指して研究を行った。長波長領域に蛍光を有する金属としてはNdやYbが知られているが、現在のところ水溶液中で十分な蛍光強度や安定性を持つこれらの錯体は存在しない。従って、まずは母核となる錯体の基本骨格を検討した。具体的には、励起波長や吸光係数等の点で優れた性質を有する蛍光団であるBODIPYに着目し、希土類金属イオンに対する強力な配位子であるDTPAと結合させた錯体を合成した。その結果、蛍光団と金属との距離が近い場合には金属由来の強い蛍光が観察された。続いて、蛍光団の近傍に電子供与能の高い芳香環を導入した錯体を合成し、PeTによる消光が見られるか否かを検討した。すると意外にも、BODIPY部分に由来する蛍光は消光しているにもかかわらず、金属由来の長寿命蛍光はむしろ増強される場合があることが判明した。このような現象はこれまでに報告が無く、光化学的にも大変興味深いものである。
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Research Products
(3 results)