2007 Fiscal Year Annual Research Report
量子常誘電体の不純物効果-リチウムを添加したタンタル酸カリウムの分極状態-
Project/Area Number |
07J02102
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
横田 紘子 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リラクサー / 臨界現象 / 三重臨界点 / 多次元相図 / 圧電定数 |
Research Abstract |
【研究の目的】 近年、リラクサーと強誘電体との固溶体であるPb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3-PbTiO_3において特定の電場印加下のもとで誘電率がゼロ電場の場合に比べて2倍近い値を示し、また潜熱がなくなるという臨界現象が存在することが見出された。この臨界電場の下においては圧電定数が大きくなることから、リラクサーが示す巨大な物性現象の起因解明の手がかりになると考えられている。そこで、我々はこの臨界現象がリラクサーにおいて一般的に現れる現象であることを明らかにすることを目的に研究を行った。 【研究内容】 量子リラクサーであるK_<1-x>Li_xTaO_3を対象に電場印加下のもとで誘電率の温度依存性測定及び、光第二高調波顕微鏡を用いてSH強度の温度依存性の測定を行った。また、フランスのEcole Centra1 Parisにある高精度X線回折装置を用いて臨界電場下における格子定数の温度依存性を測定し、圧電定数の測定を試みた。 【研究成果】 SH強度の温度依存性をLandau-Devonshireの現象論を用いて解析を行った結果、強誘電相転移の次数が2次から1次相転移へと変化するようなLi濃度の存在(三重臨界点)を見出した。2次相転移を示す試料においてはゼロ電場のもとにおいてもっとも誘電率のピーク値が大きくなり、印加電揚増大に伴いピークがブロードになっていくことがわかった。これに対して、KLTの1次相転移を示す試料においては電場を印加するにともない誘電率のピーク幅が鋭くなり、臨界電場のもとでゼロ電場に比べて誘電率のピーク値が2倍近くなるという臨界現象を観察することができた。このことは、これまで明らかにされていなかったリラクサーにおいて生じる巨大応答を解釈する上で、多次元的な要素を含む相図を考える必要性があることを提案することができたという点で非常に重要であるといえる。
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Research Products
(12 results)