2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子常誘電体の不純物効果-リチウムを添加したタンタル酸カリウムの分極状態-
Project/Area Number |
07J02102
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
横田 紘子 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | リラクサー / 臨界現象 / 三重臨界点 / 電歪定数 |
Research Abstract |
これまでに、光第二高調波顕微鏡,X線回折,中性子散漫散乱,誘電率測定などを行うことによりタンタル酸カリウムにリチウムを添加した系がリラクサーとなることを明らかにしてきた。また、この系で外部電場印加下において誘電率が特定の濃度,温度,電場のもとにおいて巨大な応答を示すという臨界現象が存在することを明確にしてきた。このような現象は異なるさまざまな力が拮抗しあうことによって生じる揺らぎに起因すると考えることができる。三重臨界点近傍においてより大きな応答を示すのかどうか、またその起因を明らかにすることを目的に研究を行った。 本年度は共同研究先であるオックスフォード大学,エコールサントラルパリを中心にして実験を行った。オックスフォード大学においては粉末X線回折測定,エコールサントラルパリにおいては粉末中性子回折測定を行い、Rietvelt解析を用いた構造解析を試みた。 相転移の次数が1次から2次へと変化する三重臨界点以下のリチウム濃度の試料については温度下降に伴い格子定数は減少するが格子定数の2段階にわたる明確なスプリットは見て取れなかった。これに対し、Li濃度が2.6%以上の高濃度試料については2段階のスプリットを観察することができた。この結果から歪に対応する電歪定数を算出した。その結果、電歪定数が三重臨界点である2.6%にむかって、急激に増大することが明確となった。また、このような臨界現象が生じる外部電場も三重臨界点付近に向かって減少していくことが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)