2007 Fiscal Year Annual Research Report
変動環境下における炭-微生物関係を利用した緑化技術の高度化に関する研究
Project/Area Number |
07J02105
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 真 Hokkaido University, 大学院・農学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 緑化技術 / 炭 / 外生菌根菌 / 火入れ実験 / 山火事跡地 / 土壌養分 / 極東ロシア |
Research Abstract |
木材生産を目的とした樹木の伐採や、人間活動に起因した環境変動による森林面積の減少が世界的に問題となっている。本研究では、そのような問題の解決策として、植林による森林再生技術の高度化を目指し、植栽樹木の成長を効果的に促進する炭,共生微生物(特に外生菌根菌)の探索を行った。まず本年度は、炭が土壌の改変をとおしてどのように植栽樹木へ影響を与えるのかを調べるため、樹木のある森林生態系内で火入れを行った後に炭除去区と非除去区を設け比較することで、炭が土壌条件を与える影響を調査した。本研究から、生態系内で炭は様々な土壌養分の中でも可給態リン酸、交換態カルシウムとマグネシウムの量を増加させ、植物が過剰害を起こしやすいアルミニウムの交換態量を減少させることが示唆された。このような土壌の改変は根圏共生微生物への影響をとおして植栽樹木へも影響する。つづいて、炭単体のみならず炭と共接種することで樹木の成長を促進する外生菌根菌種のスクリーニングを行った。様々な環境嗜好性がある外生菌根菌種の中から、炭と相性がよく樹木の成長を効果的に促進する外生菌根菌種をスクリーニングするため、天然条件で炭と外生菌根菌が共存し、樹木へ影響していることが予測される山火事跡地、および火入れ跡地にて調査を行った(極東ロシア・アムール州、北海道大学天塩研究林内の山火事跡地、火入れ試験地にて)。調査は、サンプリングした土壌中から炭をソーティングし、炭の中および周辺に存在する外生菌根菌を顕微鏡学的に探索することで行った。極東ロシアの山火事跡地および天塩研究林の火入れ跡地では、炭と相性の良い外生菌根菌種は同定できなかった。一方、天塩研究林の山火事跡地サイトでは土壌中の木炭片の周辺および中に、頻度高く特異的に存在する外生菌根菌を発見した。観察的に得られた知見であるが、この菌根菌種が炭と相性が良い可能性は高い。今後、分子生物学的手法を用いて種同定を行うとともに培養系を確立することで、炭単体、および炭-外生菌根菌種の共接種を利用した効果的な植林技術への応用が期待される。
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Research Products
(8 results)