2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02124
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有井 潤 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヘルペスウイルス / gB / PILR / fusion / endocytosis |
Research Abstract |
多くのアルファヘルペスウイルスはさまざまな細胞種に感染可能であるが、イヌヘルペスウイルス、ネコヘルペスウイルスはそれぞれイヌ由来細胞、ネコ由来細胞でしか増殖することができない。この厳密な宿主域を規定する原因を探索するため、最終的にはこれらのウイルスゲノムを自在に組換えられるシステムの確立をまず試みた。イヌヘルペスウイルスについてはすでに組換え系が確立しており、論文発表しているが、さらに本年度は、ネコヘルペスウイルスゲノムの大腸菌への保持と、組換えウイルスの作成系を確立した。(Microbiol Immunol.2009) アルファヘルペスウイルスが細胞に侵入するときに必須である糖タンパクはgD、gB、gH、gLの4種類である。これまでは唯一細胞側の受容体が同定されているgDを中心に研究がなされてきた。しかし我々のグループでは、共同研究者とともに、gBと結合する新しいHSV-1のレセプターとしてPILRαを同定した(Satoh T, Arii J and et.al.Cell 2008)。 本研究課題において、ブタのアルファヘルペスウイルスであるオーエスキー病ウイルスがPILRαを用いることを明らかにした。一方HSV-1に極めて近縁なHSV-2はPILRαを用いることができず、新たにPILRαがHSV-1とHSV-2の病態の差に寄与している可能性が考えられた。 また、ヘルペスウイルスは細胞膜表面でのfusionあるいはendocytosisを介して細胞に侵入する。二つのルートは完璧に細胞腫に依存しており、どのように選択されているかは不明であった。CHO細胞や、CHOにgD receptorを発現させた場合はHSv-1はendocytosisを介して侵入することが知られていた。しかし、新しく同定したPILRαを発現させたCHOへの侵入はfusionを介していた。すなわち、CHOへの侵入経路がPILRαの発現によって変化することが明らかとなり、二つの侵入経路を決定する因子の一つがgBのレセプターである可能性が示唆された。この結果は最も権威のあるウイルス学雑誌Journal of Virologyに採用され、editorが選ぶspotlightとして巻頭において紹介された。 さらに、PILRαを用いることができない組換えウイルスを作製し、マウスへの感染実験に供することで、実際に生体内において、PILRαがヘルペスウイルスの増殖や病態に重要な役割を担っていることを初めて明らかにした。(投稿準備中)
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Research Products
(12 results)