2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02124
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有井 潤 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヘルペスウイルス / レセプター / 宿主特異性 |
Research Abstract |
多くのアルファヘルペスウイルスはさまざまな細胞腫に感染可能であるが、イヌヘルペスウイルス、ネコヘルペスウイルスはそれぞれイヌ由来細胞、ネコ由来細胞でしか増殖することができない。この厳密な宿主域を規定する原因を探索するため、最終的にはこれらのウイルスゲノムを自在に組換えられるシステムの確立をおこなった。 イヌ・ネコヘルペスウイルスの宿主特異性を明らかにするため、まずGFPを保持したウイルスをさまざまな細胞に感染させたところ、それぞれイヌ・ネコ由来の細胞のみにGFPの発現が認められた。ウイルスゲノムをさまざまな培養細胞にトランスフェクトした場合は、どの細胞においてもGFPの発現を見ることできるため、イヌ・ネコヘルペスウイルスはイヌ・ネコ由来の細胞以外へ侵入することができないことが予測された。 次に、ネコヘルペスウイルスの細胞への侵入に必須である糖タンパク、gDを恒常的に発現する細胞株を作成した。この細胞で増殖させたイヌヘルペスウイルスは、宿主域を越えてネコ由来細胞に感染可能であった。すなわち、この二つのウイルスの宿主特異性がただ一つの糖タンパクgDによって説明できる可能性が示唆された。より確かにするため、現在はすでに確立済みであるBACシステムを用いてイヌ・ネコヘルペスウイルスのgDを交換したキメラウイルスを作成中である。同時並行して、宿主域を既定する領域の同定を試みる予定である。 また、ほかのアルファヘルペスにおいてはgDは細胞表明のレセプターと結合し、細胞膜・ウイルスエンベロープとの融合の引き金を引くとされている。これまでの結果から、イヌ・ネコヘルペスウイルスの宿主特異性がgD-gDレセプターの組み合わせによって起こっていることが予測される。現在は、ほかのアルファヘルペスで同定されているgDレセプターのイヌホモローグをクローニングしてその機能を評価中である。
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Research Products
(3 results)