2007 Fiscal Year Annual Research Report
都市空間を生み出す構造の変動と都市計画をめぐる知識・権力の再編に関する研究
Project/Area Number |
07J02133
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
植田 剛史 Hitotsubashi University, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 都市空間 / 計画 / 権力 / 知識 / 技術 / 専門家 / 市民参加 / 構造変動 |
Research Abstract |
現在の都市空間変容と知識・権力の再編とを相互連関の中で捉えることを目指し、2007年度は以下3点の研究を実施した。 1.現在東京で進む空間変容の実態と構造要因の研究:都内の超高層建築物につき、データベースを整備、1990年以降竣工の736件につき住宅地図から空間形態・土地利用の変化を調べた。結果、2000年代以降、低層密集住宅地での中規模再開発で建設される超高層建築物の増加がみてとれた。利害調整手続き等のコストのため従来成立しなかった再開発が可能となる「都市空間を生み出す構造」の形成という仮説を得た。 2.都市空間生産に携わる諸アクター間での権力関係の再編の研究:専門家団体主催の関係者向け学習会でのヒアリング、日本都市計画学会による都市計画の専門家対象のアンケート調査(2007年実施)の個票データの二次分析から、専門家の意識・考え方を検討した。結果、行政が一元的に決定を担う都市計画から「市民参加」型都市計画へ転換が図られるなか、都市計画の専門家は、「参加」の在り方・参加する「市民」について独自の理想像を構築していることがわかった。 3.都市計画に用いられる専門知識・技術の再編の研究:「都市計画コンサルタント」の業界団体、日本都市計画学会等を対象にヒアリング調査・資料収集を行い、都市空間生産に関わるコンサルテーション業務の大半の発注元が行政であることの制度要因を分析した。結果、行政が一元的に決定を担う都市計画から「市民参加〕型都市計画へ転換が図られるなか、都市計画の専門家は、 委託業務を前提に業界内制度を構築し、業務独占を定める国家資格制度の不在のため需要の生じたあらゆる業務への参入を迫られてきたことがわかった。 1,2の成果は、2008年度に実施予定の建築主、設計者などの専門家、住民組織など諸アクターの関係の分析と合わせて報告する。3の成果は日本都市社会学会で報告し論文として投稿した。
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Research Products
(2 results)