2009 Fiscal Year Annual Research Report
都市空間を生み出す構造の変動と都市計画をめぐる知識・権力の再編に関する研究
Project/Area Number |
07J02133
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
植田 剛史 Hitotsubashi University, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 都市社会学 / 都市計画 / 都市空間 / 市民参加 / 専門知 / 科学技術 / 権力 / 制度 |
Research Abstract |
最終年度の09年度は、08年度までの調査データの再換討に加え、2000年代東京の都市空間再編の実態解明に重点を置きつつ特に以下の研究を実施した。 1)2000年代東京の空間再編と実行者の研究:東京都『建築統計年報』を基に07年度から調査してきた都内の超高層建築物の竣工前後での空間利用変化につき継続調査を行い、全935件のデータを完成させた。特に1990年から2009年に竣工した743ケースをGISでマッピングし、空間分布、建築主・設計者・施工者の関係を分析した。結果:密集市街地・大規模敷地双方で住宅用途の中規模超高層建築物が多数竣工しており、不動産業者による住宅空間の売却益追求と設計者・施工者の大手への寡占化のなかで2000年代東京の空間再編が進行したことが示唆された。成果は日本都市社会学会で報告した。2)都市計画制度の変化と都市計画知識・技術の再編の研究:都市計画知識・技術の布置及び知識・技術の専門性の制度的基盤の変遷をさらに解明すべく、前年度からの継続調査として、都市計画に関わる業界団体や外郭団体、民間資格制度実施団体、日本都市計画学会等を調査した。3)都市計画における専門家-非専門家間関係の研究:専門知識・技術の相対化や専門家-非専門家間の対話・協働を批判的に問う2000年代の科学社会学の成果を検討し、前年度からの継続調査として都市計画に関連する専門的NPOや研究教育機関を調査した。結果:2)3)より、1980年代以降に顕著となる都市計画知識・技術の布置及び専門性基盤に関する構造変動は、専門知識・技術の配分格差の是正に帰結しておらず、都市計画の意思決定制度と専門家の専門性の制度的基盤の総合的再設計が現代的課題であると判明した。成果は科学・技術と社会の会(月例研究会)で報告し論文として発表した。
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Research Products
(3 results)