Research Abstract |
申請者自身の研究と先行研究から,向老期世代がシニアボランティア活動に適切な形で関わるような前期高齢期を過ごすことができれば,個人的には身体的,精神的健康にポジティブな効果をもたらすことが示された。このような高齢期の過ごし方がまさにProductive Agingであるといえる。しかし,それはボランティア活動をその特微によって社会参加活動であり,社会貢献活動であると意味づけた場合においてのみいえることである。そこで,本研究においては,活動自体が社会貢献活動であるとどの程度意味づけているのかを測定するためのProductive Aging志向性尺度の開発を目的として,調査,分析,学会発表を行った。対象者は大阪府の老人大学講座およびシルバーアドバイザー要請講座を受講する60歳以上の男女1,512名であった。予備的収集したProductive Aging志向性尺度の70項目に関して,因子分析を行った結果,20項目4因子の尺度が作成された。因子は,キャリア充実志向,将来的貢献志向,精神的安定志向,地域的貢献志向であった。基準関連妥当性の検討のために社会活動との相関係数を算出した結果,r=.29(p<.01)となり,十分な妥当性と信頼性を持つ尺度が完成した。これらの内容は,日本老年社会科学会(6月,北海道)にて学会発表を行った。 また,別の研究では,高齢期において役割を喪失すれば抑うつや不安などを引き起こすのであるが,ボランティア活動を行っていることで,喪失に対する抑うつや不安を低減することが示された。この結果から,Productive Agingを促進することが,高齢者にとって重要であることが示唆されたといえよう。これらの内容は「高齢者のケアと行動科学(第13巻)」に学術論文として掲載された。
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