2007 Fiscal Year Annual Research Report
温度感受性TRPチャネルの種間比較に基づく温度センサードメインの決定
Project/Area Number |
07J02228
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
曽我蔀 隆彰 National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities, 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特別研究員(PD)
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Keywords | ショウジョウバェ / TRPチャネル / 温度感受性 / 侵害熱刺激 / カルシウムイオン / 電気生理学 |
Research Abstract |
ショウジョウバエにおいて、侵害熱刺激感知に重要な役割を果たすことが知られていながらも、これまでに機能検討されてこなかったTRPチャネルPainlessの温度感受性と電気生理学的特性を解析し、以下の結果を得た。 クローニングしたPainlessをHEK293細胞に一過性に発現させ、Ca^<2+>イメージング法およびパッチクランプ法により検討した。Painless発現細胞に熱刺激を負荷したところ、細胞内Ca^<2+>濃度が顕著に上昇し、細胞外Ca^<2+>をキレートすると見られなくなったことから、Ca^<2+>透過性チャネルであることが示唆された。パッチクランプ法においても、熱刺激依存的な活性化電流が生じ、活性化温度閾値は約44度であった。また、非常に高いCa^<2+>透過性を示し、実際、熱活性化電流は細胞内外にCa^<2+>が存在しない状態ではほとんど見られなかった。しかしながら、細胞内にCa^<2+>を加えると大きな活性化電流を生じた。細胞内Ca^<2+>が存在する場合の活性化温度閾値は約42度で、ショウジョウバエ変異体で示された結果と良く一致した。また、50%の活性化電流を生じるために必要な細胞内Ca^<2+>濃度はおよそ100nMであった。活性化キネティクスは細胞内Ca^<2+>存在下で有意に加速し、また細胞内外のCa^<2+>存在下では繰り返し熱刺激におけるPainlessの感作が見られた。このようなCa^<2+>によるPainless活性化の制御は、N末端に存在する哺乳類TRPA1のEF-handモチーフと良く似た領域が関わっていることを示した。さらに、Painlessの熱活性化電流は、TRPA1の阻害剤であるルテニウムレッドやカンフルによって抑制された。以上の結果から、Painlessは生理的濃度の細胞内Ca^<2+>存在下で機能的に働く熱感受性TRPチャネルであることが示された。現在、この結果を論文にまとめ投稿中である。
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Research Products
(3 results)