2008 Fiscal Year Annual Research Report
ハーフメタル系エピタキシャル強磁性トンネル接合の製作とスピン輸送特性の研究
Project/Area Number |
07J02234
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 貴之 Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 強磁性トンネル接合 / ハーフメタル強磁性体 / ホイスラー合金 / エピタキシャルトンネル接合 / スピントロニクス / 不揮発性磁気メモリ |
Research Abstract |
本研究は、潜在的に大きなスピン偏極率を有するハーフメタル材料を用いた、高品質エピタキシャル強磁性トンネル接合(MTJ)の製作技術を確立し、その優れたスピン依存輸送特性を実証することを目的としている。特に、本研究では、理論的にハーフメタルであることが指摘されているホイスラー合金Co_2MnSi(CMS)と酸化マグネシウム(MgO)の良好な格子整合性の点に着目し、これらを用いたエピタキシャルMTJの開発を行っている。前年度までに、CMSを上部・下部両電極、MgOをトンネル障壁層とした、CMS/MgO/CMSエピタキシャルMTJ(CMS-MTJ)を製作し、室温で180%、低温4.2Kで700%程度の高いトンネル磁気抵抗(TMR)比を実証し、エピタキシャルなトンネル界面の有用性を既に示している。しかしながら、CMS-MTJにおけるTMR比は、温度やバイアス電圧に対して、強い依存性を示しており、これらの起源を明らかにすることが課題であった。そこで、本年度は、CMS-MTJにおける主要なスピン依存トンネル機構の理解を主目的として、研究を行った。低温における微分コンダクタンス特性を解析した結果、CMS電極のハーフメタル電子構造を実験的に明らかにした。また、MgOとの界面領域における界面電子状態の存在を強く示唆する結果を得た。特に重要な知見として、この界面電子状態を介したトンネル過程が、温度依存性・バイアス電圧依存性の主要因となっていることを示唆する結果を得た。これは、CMSのみならず、ハーフメタル材料を電極としたMTJ全般に共通する現象であると考えられる。従って、本研究で得られた知見は、ハーフメタル系材料を用いたスピントロニクスデバイス全般のデバイス特性の理解を促進する結果であると位置づけられる。
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Research Products
(29 results)