2008 Fiscal Year Annual Research Report
トマトTm-1因子によるトマトモザイクウイルス増殖抑制機構の解明
Project/Area Number |
07J02235
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
石橋 和大 National Institute of Agrobiological Sciences, 植物・微生物間相互作用研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | トバモウイルス / 抵抗性遺伝子 / トマト / ウイルス-宿主相互作用 / 非宿主抵抗性 / 宿主特異性 |
Research Abstract |
トマトモザイクウイルス(ToMV)抵抗性遺伝子Tm-1のToMV感受性トマトにおける対立遺伝子tm-1を発現する形質転換タバコにおいて,トマトを非宿主とするトバモウイルスであるタバコマイルドグリーンモザイクウイルス(TMGMV)およびトウガラシマイルドモットルウイルス(PMMoV)の増殖が抑制されることを平成19年度に報告した.本年度は,tm-1がTMGMVおよびPMMoVの複製タンパク質と結合すること,および試験管内RNA複製反応を阻害することを明らかにした.このことは,tm-1はTm-1と同様トバモウイルス複製タンパク質の阻害因子であり,ToMVはトマトに適応する過程においてtm-1との阻害的相互作用から逃れるように進化してきたことを示唆する.また,tm-1を発現するタバコにおいて増殖可能なTMGMV変異株を単離した.この変異株は,複製タンパク質にtm-1との結合を弱めるようなアミノ酸置換を有していた.そこでこのTMGMV変異株をトマトに接種することによって,トマトのTMGMV抵抗性におけるtm-1の貢献度を調べた.TMGMV変異株はトマトのプロトプラストにおいてToMVと同等に効率よく増殖したことから,tm-1はTMGMVのトマト細胞内での増殖を抑制する主要な因子であると考えられた.一方,接種トマト葉においてTMGMV変異株の増殖効率は著しく低かったことから,トマトにはtm-1以外にもTMGMVの細胞間移行を阻害する因子が存在する可能性が示唆された.このように複数の抵抗性機構が存在することが,ウイルスが非宿主に容易には適応できない一因であると考えられる.
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Research Products
(4 results)