2009 Fiscal Year Annual Research Report
理性の可能性 レヴィナス、フーコー、デリダにおける理性への問い
Project/Area Number |
07J02246
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小手川 正二郎 Keio University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | レヴィナス / 現象学 / 理性論 / フランス現代哲学 / 分析哲学 |
Research Abstract |
研究指導委託制度を用いてのパリ第十大学での在外研究(2008年秋~2010年3月)を通じて、フランスにおけるレヴィナス哲学の最新研究の成果を受容すると同時に、フランス語原典に基づきつつ、レヴィナス哲学を理性論という観点から体系的解釈することを試みた。最新の研究の成果としては一方で原典や草稿に基づいた実証主義的解釈(Michel Calin等)があり、他方で分析哲学をはじめとする他の分野の視点を導入することによって、しばしば晦渋化されるレヴィナスの叙述を批判的に検討し直す試み(Jean-Michel Salanksis等)とがある。本研究は、こうした二次文献の精査および理解を試み、レヴィナス哲学の研究史における本研究の意義を原典に基づいた批判的考察として位置づけた。本研究は、分析哲学的問題提起を重要視しつつも、それをあくまでレヴィナスの原典のうちで、レヴィナスの叙述を歴史的文脈におき直しつつ考えることで、原典に基づきながら革新的な解釈ができると考え、自らの解釈をパリでの受け入れ指導研究者J.-M.Salanskis教授と議論し、深めた。こうした成果の一部をフッサール現象学との関わりから口頭発表や論文発表によって公表した。この成果は、レヴィナスとフッサール現象学との関わりを哲学的に厳密な形で明らかにしたという意義だけでなく、レヴィナス哲学における現象学の位置づけをより正確な形で提示したという意義を有する。
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Research Products
(2 results)