2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報を利用した放線菌の形態分化、二次代謝に関する遺伝子群の統括的解析
Project/Area Number |
07J02253
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 節 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Streptomyces / A-factor / AdpA / WhiB |
Research Abstract |
WhiBファミリー蛋白質は放線菌の形態分化を広く制御する WhiBはStreptomyces coelicolor A3(2)で同定された機能未知の87アミノ酸の蛋白質であり、遺伝子破壊株の表現型解析から胞子形成に必須であることが知られている。放線菌Streptomycesはそれぞれのゲノム上に7から13個と多くのW__-hiB__--l__-ike(Wbl)蛋白質をコードしており、それらの機能はほとんど未知のままであった。このような状況の中、研究代表者の所属研究室で行われたStreptomyces griseusにおけるDNAマイクロアレイ解析によりwbl遺伝子のいくつかがA-ファクターに依存した転写パターンを示すことが明らかとなった。そこでS.griseusにおけるwbl遺伝子のA-ファクターによる制御機構を明らかにすること、またWbl蛋白質の生体内での機能を明らかにすることを目的に研究を行った。 S.griseusは全部で7個のwbl遺伝子を有するが、その中で4遺伝子の転写がadpA遺伝子破壊株で減少していた。詳細な転写解析の結果、AdpAはこれら4遺伝子の転写を直接ではなく間接的に制御していることが明らかとなった。4遺伝子のうち3遺伝子について遺伝子破壊株を作制して表現型を解析したところ、気中菌糸形成能を失った株と異常な形態の胞子を形成する株が見られた。以上の結果はWhiBファミリーに属する蛋白質は胞子形成だけでなく気中菌糸形成や胞子成熟の段階にも関与していることを示しており、Wbl蛋白質は放線菌の形態分化について大きな役割を担う蛋白質群であることが明らかとなった。現在は残る1遺伝子の破壊株の表現型解析、および4遺伝子がコードする蛋白質の細胞内局在解析によりA-ファクター依存的なwbl遺伝子群の解析をまとめている。
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