2008 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌ヒダナシタケ目タマチョレイタケ属の系統進化と種分化における交配反応について
Project/Area Number |
07J02260
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
早乙女 梢 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 交配反応 / サルノコシカケ類 / タマチョレイタケ属 / 分子系統解析 |
Research Abstract |
証拠標本が明確なアジア産、アメリカ産およびヨーロッパ産の菌株を使用し、核の28SrRNA、核のrpb2遺伝子(一部)、ミトコンドリアのatp6遺伝子(一部)の分子系統解析により、タマチョレイタケ属および近縁属の系統関係を示した論文を国際雑誌Mycologiaに発表(平成20年8月掲載)、その中で、これらの分類群に6つの大きな単系統群が存在することを示した。本年度は各単系統群に特異的な形態、生態的、生理的特徴の探索を行った。SEMによる胞子の表面構造の観察の結果、各単系統群に大きな差は見られなかった。また、培養菌糸の形態については種レベルの特徴はみられるものの、単系統群間で差は見られなかった。菌糸成長の最適温度の分布については系統関係よりも、むしろ、各種の分布域が反映されていることが示唆された。その一方で、担子胞子のサイズやかさの表面構造が各系統群において重要であることが示唆された。 種分化における交配反応の意義付けにおける研究では、さらに多くの単胞子分離菌株日本産タマチョレイタケ複合種、計20子実体より確立したテスター菌株40単核菌株を使用した交配実験を行い、「部分的な交配」の頻度やこれらが交配因子に依存するものであるかを検討した。その結果、この交配でみられる核移動はシイ・カシ林に分布する子実体由来の菌株のみで起こること、交配因子に由来する反応では無い事が示唆された。また、使用する単胞子菌株やその組み合わせによって、クランプ結合の形成の程度や交配反応の早さにも差があることが示された。
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Research Products
(7 results)