2009 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌ヒダナシタケ目タマチョレイタケ属の系統進化と種分化における交配反応について
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07J02260
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
早乙女 梢 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 交配反応 / サルノコシカケ類 / タマチョレイタケ属 / 分子系統解析 |
Research Abstract |
これまでの研究で、アジア・アメリカ産およびヨーロッパ産のPolyporus属およびその近縁属の分子系統関係を検証し、その結果、これらの分類群に6つの大きな単系統群が存在することを明らかにした。そこで、本年度は系統解析に使用した菌株の証拠標本の詳細な形態観察を行い、系統関係との相関を検証した。その結果、子実体の全体形、柄の位置、傘の肉質、生殖菌糸における膨張や傘表面の菌糸構造によって各単系統群は特徴づけられた。また、これら6系統群のうち、4系統群は分布地域や発生環境がそれぞれ共通であった。日本産タマチョレイタケには、日本北部と南部に分布する2つのタイプが確認され(北タイプ・南タイプ)、それらは正常な交配反応をせず、また、ミトコンドリアのatp6遺伝子が大きく異なることが知られている。今年度は、より多くのサンプルを収集し、それらの他のミトコンドリア遺伝子(SSU,COX3)および核遺伝子(ITS,elf-α,LSU,rpb2)での検証を行った。その結果、日本産タマチョレイタケの両タイプの検証した遺伝子における塩基配列はほとんど一致しており、atp6遺伝子だけに大きな変異があるいることが明らかになった。また、各タイプに特異的なatp6遺伝子用プライマーを作成し、特異的プライマーとシーケンシングにより日本産本種のatp6領域のタイピングを行った。その結果、いくつかの菌株は両タイプのatp6遺伝子を有していることが示された。その一方で、リアルタイムPCRによる検証の結果、日本産本種のatp6遺伝子はシングルコピーであることも示唆された。
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Research Products
(4 results)