2008 Fiscal Year Annual Research Report
先端医療技術の時代における人間の条件:身体=機械の異種混交性に関する人類学的研究
Project/Area Number |
07J02262
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山崎 吾郎 Osaka University, コミュニケーションデザイン・センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 臓器移植 / 脳死 / テクノロジー / 贈与論 / dispositifs / 身体 / 経済化 |
Research Abstract |
臓器移植医療の実践においてみられる身体の取引形態を、特殊な経済活動として考えることで、臓器をめぐる所有、人格、贈与のそれぞれの概念を再考する研究に取り組んだ。なかでも、贈与システムの社会的構成を論じるために、昨年来取り組んでいるM.フーコーのdispositifs概念について考察を深め、臓器売買の問題や、レシピエントの身体認識といった具体的な事例の中で検討した。Dispositifsの概念は一種のテクノロジー論としてとらえることができるため、臓器移植システム全体を論じるための重要な足がかりとなることを示した。その簡潔なまとめとして、研究ノートを執筆した(印刷中)。 10月より、研究実施計画に基づいて、フランス社会科学高等研究院での在外研究をはじめた。在外研究中は、マルセル・モースにはじまるフランス人類学の技術論の系譜をたどることで、技術と人間の異種混交的なあり方について論じてきた報告者の研究を、学説史のなかに正確に位置づけるための準備を行っている。また、グローバルに展開する臓器移植医療の比較研究を行うため、諸外国の研究者との交流を深めている。 今年度の研究成果として、昨年度までの研究をまとめた論文を執筆し、一般書籍として出版したほか、複数の研究会で発表をおこなった。とりわけ、人格と資源という二つの見方をテクノロジー論から読み解く意義について明らかにしたことで、今後の研究の重要な論点を提示することができた。
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Research Products
(5 results)