2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジャマイカ黒人男性によるキリスト教男性イデオロギーの戦術的解釈
Project/Area Number |
07J02266
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
二宮 健一 Kobe University, 国際文化学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ジャマイカ / キリスト教 / 男性性 / ダンスホール / ゴスペル音楽 / カリブ海 |
Research Abstract |
2008年8月から、ジャマイカの首都キングストンにてフィールド調査を行っている。調査対象は、「ダンスホール・ゴスペル」と呼ばれる、キリスト教徒の音楽活動である。 「ダンスホール・ゴスペル」は、教会文化とダンスホール文化という、ともにジャマイカ社会に大きな影響力をもち、かつ互いに対立する文化の間に生じ、それらを連結するような働きをしている。 この連結作用によって、「ダンスホール・ゴスペル」は、これまでジャマイカの教会がうまく布教することができずにいた男性たちへの布教を可能にするラディカルな手段となっている。同時に、この音楽のアーティストたちの姿を通じて、従来とは異なるキリスト教徒男性のイメージが生産されている。このような側面をもつ「ダンスホール・ゴスペル」は、ただの娯楽ではなく、キリスト教徒の男性運動として捉えることができる。この男性運動としての「ダンスホール・ゴスペル」を調査すること通して、私の研究課題である「ジャマイカの黒人男性によるキリスト教男性イデオロギーの戦術的解釈」の様子を記述および考察することができると考えている。 これまでの調査では、「ダンスホール・ゴスペル」についての包括的かつ理解度の深い記述を可能にする資料をつくるために、この音楽が生産される現場(スタジオなど)およびプレイされる現場(パーティ、コンサート、教会など)での参与観察と、関係者へのインタビューを行ってきた。このうち、研究テーマである男性性に関する資料としては、パフォーマンスやインタビューのなかで語られる、理想の男性像、男性の直面する日常的問題、自身の性やジェンダー役割、などを記録し、後に分析できるように整理している。 このフィールド調査は来年度8月まで継続して行う予定である。
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