2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02287
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上原 崇人 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 複素力学系 / 複素曲面 / 双有理写像 / 双正則写像 / 不動点公式 / パンルヴェ方程式 |
Research Abstract |
本年度の主な研究業績は次の2つである。 まず、岩崎克則氏との共同研究により、以前に示したgenericなパラメータに対するパンルヴェ方程式についての周期解の個数の評価を,全てのパラメータに対して拡張した。また、周期解の指数増大度を求めるアルゴリズムも得た。この問題はパンルヴェ方程式の非線形モノドロミー写像の周期点の個数を評価することに帰着されるが、パラメータがnon-genericな場合、周期曲線が表れてしまうため、古典的なレフシェッツの不動点公式は適用できない。そこで上記の結果を得るため用いたものが、昨年度に示した、周期曲線をもつ双有理写像に対する孤立周期点の個数の評価である。この結果は、「力学的次数と呼ばれる量が1より大きい場合、周期曲線は高々有限個しか存在せず、孤立周期点の個数が周期に関して指数増大的に大きくなり、その増大度と力学的次数が一致する」というものである。そこで、非線形モノドロミー写像の力学的次数が1より大きいことを証明して、さらに上記の結果が適用した。 さらに、エントロピーが正のとなる有理曲面上の自己同型写像を具体的に構成した。エントロピーが正になる自己同型写像をもつ複素曲面は、複素トーラス、K3曲面、エンリケス曲面、そして有理曲面のいずれかに限られることが知られているが、有理曲面に対する具定例についてはほとんど知られていない現状であった。そこで、有理曲面上の自己同型写像の例を多く構成して、そのエントロピーの値も具体的に求めた。また、ある例についてはシーゲル円板をもち、力学系として面白い対象となっていることも示した。
|
Research Products
(1 results)