Research Abstract |
待ち行列ネットワークのリンク設計に関する従来研究では,解析的手法やシミュレーテッドアニーリング法や遺伝的アルゴリズムなど学習的手法により,準最適なリンク設計を実現してきた[5].しかし,P2Pネットワーク等のネットワークアプリケーションのサービス提供に際してリンク設計を行うには,ノードの頻繁な追加・除去に伴うノード数の変化や,ノード間に発生するトラフィック量の動的な変化についてより明示的にモデルに組み込み考慮する必要がある.また,大規模ネットワークにおいては,リンク構造全体の一元的・一括的な制御は困難であることも考慮すべきである.すなわちこのような状況下では,従来研究のアプローチによって各時刻で準最適なリンク構造を得ても,その構造を実際のネットワークに適用するには難がある.これらのことを鑑みると,ネットワークにノードが追加される過程で,ノードが局所的な情報をもとにリンク生成することで,全体として最適なリンク構造を実現する方法を開発することが望ましいと考えられる.よって,本申請研究は,大規模な待ち行列ネットワークに与えられるさまざまな動的な状況を鑑みて,局所的な情報からノードがどのようにリンクを生成するのが最適であるかを解明し,リンク生成アルゴリズムを設計することを目的とする. そのために,まず静的に与えられるトラフィック量やサービス率の条件と,最適なリンク構造の関係を調査した.具体的には,上述の組合せ最適化問題を遺伝的アルゴリズムで解き,ある条件下で準最適なリンク構造を計算した.その際,待ち時間を計算するために,各トラフィックのルーティングを決定する必要がある.ここでは本問題の目的関数に従い,各トラフィックの待ち時間が最小となるようネットワーク全体のルーティングを決定した.各トラフィックのルーティングは他のトラフィックのルーティングに依存するため,独立に計算できない難しさがある.従って,待ち行列ネットワークの解析で用いられるフロー偏差法を基礎とし個々のトラフィックのルーティングを逐次的に決定した.また,分散遺伝的アルゴリズムを用いてPCクラスタ上で効率的に最適化を行うことも試みた.
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