2008 Fiscal Year Annual Research Report
カロリング期教会改革の研究-バイエルンの事例を中心に-
Project/Area Number |
07J02312
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
津田 拓郎 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カロリング / 初期中世史 / 教会会議 / 王国集会 / 教会改革 / カピトゥラリア / フランク王国 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度の研究成果を受け、王権の教会改革政策を伝達する装置である教会会議、王国集会、カピトゥラリアの国制上役割の検討を行った。当初の研究計画では主としてバイエルンのみが検討の対象とされる予定であったが、研究の進展により研究対象を発展的に拡大する形で、フランク王国全体を分析の対象とした。まず、カロリング期の研究にとって欠かせない史料であるカピトゥラリアを取り巻く最新の研究状況を概観した上で、写本中の伝来状況の考察から、それが必ずしも「法」としての性質のみを強く打ち出した史料類型ではないことを明らかにした。ここで得られた成果は2008年10月に秋田大学で行われた東北史学会大会において口頭で報告すると共に、博士論文(2009年3月提出)の第1章を構成している。このような史料論的分析に加え、昨年度以来取り組んでいる、「王国集会」と「教会会議」の問題の検討も行った。ここでは西フランク王国、中部フランク王国(ロートリンゲン、イタリア)における状況をも含め、カロリング期フランク王国全体における事例を網羅的に蒐集すると共に、聖俗の集会の差異が同時代人にどのように認識されていたのかに関して重要な知見を得るに至った。カロリング後期になるにつれて、聖俗の集会の差異が徐々に意識され始める事など、「王国集会」・「教会会議」のおり方の体系的な調査から、従来「衰退」として語られる事の多かったカロリング後期の国制の全体的な見直しも行う事が出来た。ここで得られた成果は博士論文の第3章・第4章を構成している。2008年9月にはドイツ、ミュンヘンのMonumenta Germaniae Historicaにおいて研究を行い、Rudolf Schieffer教授に研究成果の報告を行うと共に,研究内容についての助言を受けた。
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Research Products
(1 results)