2008 Fiscal Year Annual Research Report
二次元規則配列微小構造障壁による新規分子分別手法の確立
Project/Area Number |
07J02322
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀧本 麦 Hokkaido University, 大学院・理学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 脂質二分子膜 / 単一分子追跡 / 電子線リソグラフィー / 全反射顕微鏡 / 分子拡散 / 金属ナノギャップ構造 / 分子分別 / 平均二乗変位 |
Research Abstract |
申請者はこれまで、脂質二分子膜内単一分子の拡散挙動を直接観察し数値解析を行うことにより、固体基板上に作製された金属ナノギャップにおける膜内分子の運動性を半定量的に評価する手法を確立した。さらに、ナノギャップ透過性が分子形状およびサイズに依存することを見出し、この透過性の差異を用いた新規分子分別機構構築の端緒を開いた。平成19年度においては、電子線リソグラフィーを用いて高度に形状およびサイズを数nmのスケールにて制御されたギャップを作製し、このギャップを通過する脂質二分子膜内単一色素標識分子の拡散挙動追跡に成功した。 平成20年度においてはナノギャップにおける分子分別効果の機構明確化を目的として、個々の分子の軌跡より拡散係数および自発展開方位に対する分子移動速度を解析した。その結果、間隙幅100nm以下のナノギャップにおいて色素標識分子の透過性が特異的に大きく減少し、分子分別効果が発現することが明らかになった。このナノギャップにおいて単一分子に作用する分別効果の駆動力を算出した。算出された駆動力は従来の静電場を用いた分子分別機構における値と同程度であり、外部摂動を用いない本系においても、局所的な分子運動制御に基づいた高い分別効率が実現可能であることが示された。 本成果は、単一分子レベルでの精妙な分子操作法への応用可能性を提示するのみならず、固体表面や細胞膜等における局所エネルギー印加による化学反応、エネルギー変換、物質認識・分別などの発現に対する理解および制御への礎となると期待される。
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Research Products
(11 results)