2009 Fiscal Year Annual Research Report
π-アリル金属種の生成とその反応性を利用した有機合成に関する研究
Project/Area Number |
07J02324
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安原 祐一 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ロジウム触媒 / アルキノエート / 有機ホウ素反応剤 / サリチル酸エステル / 炭素-炭素結合形成 |
Research Abstract |
(1)研究計画とその意義 所属研究室では以前に,ロジウム触媒を用いたアリールボロン酸のアルキン類に対するヒドロアリール化反応を報告している.その中で,ロジウム-二座リン配位子錯体がこの反応の触媒として有効であることを明らかにしている.実際に,触媒量の[Rh(OH)((R)-binap)]2存在下,アルキニルエステルとフェニルボロキシンとを反応させることで,対応するヒドロアリール化体が良い収率で得られた.一方,本反応において,触媒としてロジウム-ジエン錯体を用いることで,これまでに報告例のないアリール化-オリゴマー化が進行することを見出した. 本年度は本アリール化-オリゴマー化反応についての研究を遂行した.本反応はアルケニル金属種が中間体となる反応形式や生成物として複雑なサリチル酸エステル誘導体が得られる点など,特徴的な反応となる可能性を秘めており,本研究の学術的な価値は高いと考えた. (2)研究内容 触媒量の[Rh(OH)(cod)]2存在下でアルキニルエステルとアリールボロキシンとを反応させたところ,生成物としてアリール基一つとアルキニルエステル三つが反応したサリチル酸エステル誘導体が高収率で得られることが分かった.本反応の基質適用範囲は広く,アルキニルエステルではメチル,エチル,そしてイソプロピルエステルを用いることができた,アリールボロキシンについては,電子供与性や電子求引性の置換基を有するものでも効率よく反応は進行した.この反応はアリールロジウム種のアルキニルエステルへの付加を起点として,さらに二つのアルキニルエステルと反応,そしてエステルカルボニル基への分子内カルボロデーションで終結する機構で進行していることを想定した.実際に,予想されるアルケニルロジウム中間体を形成するようなアルケニルスズ化合物を合成し,同様の条件下で反応を行ったところ,期待通りにサリチル酸エステル誘導体が得られ,上述の反応メカニズムが正しさを示すことに成功した.
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Research Products
(2 results)