2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02332
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加瀬 諭 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 網膜芽細胞腫 / p27 / cyclin D / cdc2 / erythropoietin / 血管新生 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
増殖糖尿病網膜症(PDR)の線維血管増殖膜をフォルマリン固定、パラフィン胞埋し未染色標本を作製した。同時に硝子体液も採取した。細胞周期関連蛋白p27,cyclinD1について、翼状片組織を使用し、明らかな陽性反応を示すこと確認した。同じ抗体を使用し、PDRの増殖膜で発現を検討したが、陽性所見はなかった。増殖膜の増殖、進展には他の細胞周期関連蛋白の変化が関与している可能性が示唆された。PDRでは、硝子体中に血管新生因子エリスロポエチン(Epo)濃度が上昇することが知られている。EpoはEpo受容体と結合し、主にJUK/STATの経路を介し、血球系を始めとする種々の細胞の増殖を誘導する。我々は、Epo受容体がPDR増殖膜の新生血管に強発現していることを確認した。PDRにおけるこの経路の解析をすることにより、真に機能している細胞周期関連蛋白を同定することが可能になるかもしれない。また、PDRの硝子体液中のオステオポンチン濃度が上昇することも突き止め、増殖膜の形成に組織の修復起点や炎症が関与していることが示唆された。マウス網膜の発達段階において、生後1日(P1)の網膜組織を使用し、細胞周期のG2からM期の進行に関わるcdc2の発現を調べたが、有意な発現はなかった。網膜芽細胞腫の組織を使用し、cdc2の発現を調べたところ、腫瘍細胞の核に散在性に陽性になった。M期の腫瘍細胞にも陽性になった。DNA合成期にDNAの損傷が起った場合に、cdc2の脱リン酸化が誘導され、細胞の複製が可能になることが示唆されてきた。網膜芽細胞腫組織におけるcdc2チロシンリン酸化を調べると、散在性にM期の腫瘍細胞に陽性になったが、その陽性率は全cdc2の発現よりも少なかった。網膜芽細胞腫培養細胞株Y79を購入し、培養を開始した。今後、cdc2の発現とY79の細胞増殖との関連も検討する予定である。
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Research Products
(3 results)