2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02332
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加瀬 諭 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 網膜芽細胞腫 / PCNA / マウス酸素誘導網膜症 / VEGF / 熱ショック蛋白 / 血管新生 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
糖尿病網膜症は網膜新生血管を誘導し、硝子体出血、線維血管膜の形成へと発展し、結果的に失明につながる。網膜新生血管の動物モデルとして、マウス酸素誘導網膜症が有名である。渡米中にマウス酸素誘導網膜症モデルを学び、習得した。これを使用し、網膜新生血管は網膜表層の内境界膜の破綻に伴い硝子体へ進展し、この部では細胞周期におけるS-M期のマーカーであるproliferating cell nuclear antigen(PCNA)が陽性になることを確認した。一方、このモデルでは血管が自然退縮することも知られている。自然退縮期では、PCNAが新生血管に陰性となり、グリア細胞の突起が著明に進展する、という興味深い結果を得ることもできた。マウス酸素誘導網膜症は網膜新生血管モデルとして有用であることを認識した。今後、このモデルを使用し、網膜新生血管の増殖制御機構を解明する予定である。新生血管の発生、増殖にVascular endothelial growth factor(VEGF)が重要であることが知られている。ウシ脈絡膜血管内皮細胞を培養し、VEGF蛋白を添加すると、MTTアッセイにて細胞増殖が見られ、フローサイトメトリにてS期の細胞が増殖したことも確認した。In vitroの実験で有用な材料であることが確認された。網膜芽細胞腫Y79細胞を培養し、0-400uMの過酸化水素水で処理したところ、ストレス応答熱ショック蛋白の発現上昇をウエスタンブロット法で確認したが、腫瘍細胞アポトーシスはおこらなかった。今後、熱ショック蛋白の発現と網膜芽細胞腫の増殖の関連を検討する予定である。Transforming growth factor beta(TGFB)は多機能を有する増殖因子であり、標的細胞の分化、増殖を誘導する。渡米中にヒト網膜芽細胞腫に水晶体の分化、増殖による疾患である白内障を合併する症例を経験し、これらの症例では腫瘍細胞がTGFBを有意に高発現していることを示した。網膜芽細胞腫由来のTGFBは、水晶体上皮細胞の分化、増殖を誘導する可能性がある。
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Research Products
(9 results)