2007 Fiscal Year Annual Research Report
更新世末から完新世の高緯度における人類の環境適応行動:北海道の細石刃石器群研究
Project/Area Number |
07J02335
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
赤井 文人 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 特別研究員
|
Keywords | 細石刃石器群 / 狩猟採集民 / 旧石器時代 / 更新世末 / 北東アジア / 北海道 |
Research Abstract |
本研究は、北東アジアの高緯度地域において更新世末から完新世初頭の狩猟採集民が環境に適応するためにどのような技術開発と行動選択を行なったのかを明らかにすることを目的としている。検討対象を北海道の細石刃石器群とし、細石刃石器群の構造を明らかにすることで当該域における人類の環境への適応行動の解明を目指す。 平成19年度は、北海道中央部石狩低地帯南部の細石刃石器群を主な対象とし、実資料に基づいた分析によって当該域における遺跡間変異について検討した。石狩低地帯南部はテフラが複数検出され、各遺跡の堆積状況が良好であることから遺跡破壊の影響が少なく、分析対象として好条件に恵まれている。また、各石器群の石材・石器形態・素材生産過程などにおいて石器群間の差異が明瞭で、遺跡間の変異が他地域に比べ相対的に把握しやすい。以上の理由から北海道の中でも先行して石狩低地帯南部における石器群の変異について考察し、道内における遺跡間変異を説明するモデルの粗描を暫定的に行った。具体的な作業は、北海道埋蔵文化財センター、厚真町教育委員会などに保管されている複数遺跡の石器群を実見し、分析を行った。検討の結果、石狩低地帯南部の細石刃石器群に見られる石器石材の消費戦略の差異が、古環境変動に対する人類の適応戦略として表れたものと解釈できる見通しを示した。また、石狩低地帯南部の細石刃石器群分析と並行して当該地域以外の細石刃石器群についても分析を進め、道東・道北の細石刃石器群の集成・文献収集を行い、次年度以降の研究に備えた。さらに北見市吉井沢遺跡の発掘調査および資料整理に参加し、研究対象としている更新世末の石器群に関して今後の研究に必要なデータを収集した。
|
Research Products
(5 results)