2007 Fiscal Year Annual Research Report
階層的調査計画による海草藻場の変動様式の非線形性と創発現象の解明
Project/Area Number |
07J02341
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山北 剛久 Chiba University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 空間スケール / リモートセンシング / 動的安定性 / 非同調性 / 海草藻場 / 空中写真 / GIS / 物理撹乱 |
Research Abstract |
沿岸生態系において重要な機能を果たすアマモ場は、世界的減少にもかかわらず、その変動機構は解明されていない。本研究では、リモートセンシングおよび地理情報システムを用いた長期空間動態の解析により、海草藻場の景観動態に影響する複数の要因の空間スケール依存性と、要因間の相互作用がもたらす非線形的パターンの出現(創発現象)を解明することを目的とした。特に、1、海草藻場の分布と変動様式の階層的解明、2、微地形変化に着目し、局所スケールで作用する要因の解明、3、1,2で得られた同一スケール内の要因間の相互作用と、異なるスケールで作用する要因とを統合した海草藻場の景観動態モデルの作成、の3つの課題に取り組んだ。 1、 空間スケールを階層的に組み合わせたデザインで海草の植生調査を年4回実施し、同時に、カイトフォトグラフを撮影した。航空写真画像解析の結果、富津干潟のアマモ場の面積は平均0.99km2であり、最大1.56km2から最小0.38km2まで大きく変動した。解析範囲を200m四方の小区画に分けて比較したところ、距離に従った同調性と空間自己相関が見られた一方、小区画間で分布変動に非同期性があり、局所の非定常性によるボトムアップ効果が全体の安定性に貢献していることが示された。 2、 1mの格子状の調査点において水深を測定し、調査点内で階層的に粒度組成、漂砂の堆積速度を測定した結果、冬季にアマモ、堆積物ともに変化が起こることが明らかとなった。また、潮汐の経時的測定から、その変化に非線形性があることが明らかになり、今後の課題である。 3、 遷移行列モデルによってアマモ場の拡大・縮小に対する隣接植生の有無の効果を解析した。その結果、8m以下の解像度では、局所的なアマモの分布拡大に隣接するアマモの効果がスケールに依存せずに作用することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)