2008 Fiscal Year Annual Research Report
運動トレーニングのアディポネクチン受容体転写因子に対する効果
Project/Area Number |
07J02350
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
黄 虎 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 運動トレーニング / アディポネクチン / 受容体 / 転写因子 / 代謝 / インスリン感受性 / 健康 / 運動療法 |
Research Abstract |
本年度は主に運動やトレーニングによって転写因子がどのように変化するかを把握し、その変化がアディポネクチン受容体の遺伝子発現の調節に与える影響とそのメカニズムを厳密に検討する。 1.C57BL6マウスを用い、急性運動をさせ転写因子の変化を検討する。 結果:急性運動により、2時間後の血中遊離脂肪酸濃度が著しく上昇し、同時に血中インスリン濃度と血糖値が減少したことが認められた。そこで、急性運動がインスリン感受性を改善するメカニズムにアディポネクチン受容体の発現が関わるか否かを検証したところ、骨格筋と肝臓のアディポネクチン受容体1のmRNAレベルの上昇が認められた。さらに、アディポネクチン受容体の転写因子と言われているFoxolも、骨格筋では約10倍、肝臓では約2倍mRNAレベルが上昇した。 2.糖尿病モデルマウスKKAyを用い、8週間のトレーニングを行い転写因子の変化を検討する。 結果:8週間のトレーニングによって、糖尿病モデルマウスKKAyの骨格筋と肝臓のアディポネクチン受容体1のmRNAレベルが増加した。しかしながら、転写因子であるFoxolの変化は認められなかった。 3.C57BL6マウスに高脂肪食を与え、肥満とインスリン抵抗性を引き起こしてから8週間のトレーニングを行い転写因子の変化を検討する。 結果:2ヶ月の高脂肪食を与えた結果、C57BL6マウスの体重が著しく増加し、インスリン感受性が低下したことが認められた。そこで、8週間のトレーニングを行った結果、インスリン感受性を改善し、骨格筋と肝臓のアディポネクチン受容体1のmRNAレベルが増加した。しかしながら、KKAyマウスと同様に、転写因子であるFoxolのmRNAレベルの変化は見られなかった。これらの結果から、運動によってアディポネクチン受容体1を制御する転写因子はFoxol以外にも存在することが示唆された。 4.転写因子SP1とアディポネクチン受容体 結果:培養細胞C2Cl2(マウス骨格筋細胞)とHEPG2(肝細胞)を用い、アディポネクチン受容体のプロモーター解析を行ったところ、基本転写因子SP1がアディポネクチン受容体の発現に不可欠であることが分かった。また、アデノウィルスを用い、細胞のSP1の発現をノックダウンしたところ、アディポネクチン受容体1の発現が減少したことが認められた。現在、アデノウィルスsiRNASP1をC57BL6マウスに投与(筋肉投入と静脈投入)し、筋肉と肝臓のアディポネクチン受容体の発現の変化を検討中。
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Research Products
(1 results)