2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02357
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多田 雄哉 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 海洋細菌 / 群集構造 / ブロモデオキシウリジン / 増殖 / 細菌生産 / 植物プランクトンブルーム |
Research Abstract |
前年度までに研究開発を行った、海洋細菌の群集組成とその増殖を定量する新手法Bromodeoxyuridine immunocytochemistry(BIC)-FISH法を用いて、海洋の一次生産者である植物プランクトンの増殖に対する海洋細菌群集の動態解析を行うことを目的とした。2007年5月に東京大学海洋研究所国際沿岸海洋研究センターにて実施した人工的にブルームを起こさせるメソコズム実験の採取試料について、BIC-FISH法による細菌群集の動態解析および環境パラメーター(クロロフィルa量、溶存態有機物量、懸濁外有機物量、ウイルス数、原生生物数)の測定を行った。また、実際に西部北太平洋に形成された春季植物プランクトンブルーム内及びブルーム外の細菌群集についてBIC-FISH解析および環境パラメーターの測定を行った。メソコズム実験および天然環境のブルーム内からは共通してRoseobacter、Alteromonas、Bacteroidetesグループの活発な増殖が確認され、それに伴い現存量の増加が確認された。反対に、ブルーム内外において最も優占していたSAR11グループの増殖はそれほど見られなかった。また、天然環境中からは、メソコズム実験では見られなかったSAR86グループの増殖および現存量の増加が観察された。SAR86グループの増殖は、過去に行われてきた植物プランクトンブルームメソコズム実験では確認されておらず、実際の天然環境中に形成されたブルームに応答し、増殖してくるグループであることが示唆された。以上の結果から、Roseobacter、Alteromonas、Bacteroidetesグループに加え、SAR86グループが植物プランクトンブルームの形成および崩壊過程を支配している細菌群であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)