2008 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける森林伐採地域の地方政治・経済権力構造の比較
Project/Area Number |
07J02380
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森下 明子 Kyoto University, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地方政治 / 森林資源 / 利権構造 / マレーシア / インドネシア |
Research Abstract |
平成20年度はマレーシア・サバ州とインドネシア・リアウ州、北スマトラ州において、地元新聞記者や政治家などへのインタビューを実施し、地方政治・経済権力構造に関する情報を収集した。 研究成果としては、5月に関西マレー世界研究会主催公開フォーラム(京都大学、2008年5月5日)において、2008年3月に実施されたマレーシア総選挙(サラワク州、サバ州担当)について報告し、その内容は日本マレーシア研究会ディスカッション・ペーパーに掲載された。また6月には日本比較政治学会(慶応義塾大学、2008年6月21日)において、インドネシアの中央・地方関係に関して口頭発表を行った。本発表では、東カリマンタン州を事例に、石油や天然ガスといったインドネシア政府にとってきわめて重要な天然資源を産出する地域では、地方分権後も中央政府が地方政治に強い影響力をもつことを指摘した。また9月にはオーストラリア・オランダ共同国際ワークショップ(オーストラリア国立大学、2008年9月28日)において、インドネシアの森林伐採地域の政治経済権力構造について報告した。インドネシアでは近年、違法伐採が盛んに行われ、国内外の環境団体から非難を浴びている。しかしインドネシア政府による違法伐採業者の摘発は進んでいない。その背景として、本発表では中部カリマンタン州を事例に、違法伐採の元締めである地方実業家が地元政治家・官僚・警察・国軍と結託し、さらに中央の政治家や大企業からも庇護を得ていることを指摘した。10月には、この2つの学会報告をもとに東カリマンタン州と中部カリマンタン州の政治・経済権力構造を比較分析し、コーネル大学の学会誌Indonesiaに英語論文を発表した。
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Research Products
(5 results)