2007 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体の組織化による表面反応場の構築とその応用
Project/Area Number |
07J02381
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
秋山 龍人 Hokkaido University, 大学院・理学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 遷移金属錯体 / 不均一系触媒 / 自己組織化単分子層 |
Research Abstract |
本研究課題では表面の特殊な環境と表面上に組織化する分子の形状を積極的に利用した触媒反応場設計を行い、従来の触媒では達成できない特異な反応性を有する触媒反応系の開発を目的としている。 当該年度では、これまでに開発を行ってきたRh、Ir錯体を金表面上で高密度組織化した単分子層触媒の応用範囲を拡大し、幅広い反応へと応用可能であることを示した。具体的にはRh錯体を用いたアルコール脱水素シリル化、およびアルケン、アルキンのヒドロシリル化反応およびIr錯体を用いたアルケンのヒドロホウ素化において単分子層触媒が従来よりも遥かに高寿命な触媒として利用できることを見出した。特にRh単分子層触媒はアルコール脱水素シリル化において既存の触媒にはない非常に優れた機能を示した。すなわち、本Rh触媒は1級2級アルコール共存条件下で1級アルコールのみを99.5%以上のほぼ完全な選択性で反応させることができ、その後簡便な操作で活性、選択性を低下させることなく触媒を再利用することができた。その際のRhあたりの触媒回転数は230000以上であり本触媒が非常に高寿命であることを示している。単分子層上でのRh錯体の密度と反応性の相関関係を精査したところ、高密度にRh錯体を固定化した触媒でのみ高い1級アルコールの選択性が発現することを見出した。今回示した高い1級アルコール選択性は金属中心を表面上で高密度組織化する触媒設計手法が鍵となっている。さらにX線微細吸収構造(XAFS)や走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いた触媒の構造解析を行った。本触媒が示した特異な活性、選択性の由来について考察を行う予定である。
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Research Products
(5 results)