2007 Fiscal Year Annual Research Report
水の光分解反応を指向した新規可視光応答型光触媒の研究開発
Project/Area Number |
07J02395
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 和彦 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光触媒 / 可視光 / 水分解 / 水素製造 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
前年度までに、窒化ガリウム(GaN)と酸化亜鉛(ZnO)の固溶体(以下GaN:ZnOと表記)が可視光照射下で水を水素と酸素に分解できる安定な光触媒材料であることを見出してきた。本年度は、この材料の光触媒活性向上を目的として、水素生成反応の活性サイトとして働く新規な助触媒の開発、及び光吸収体であるGaN:ZnOの合成方法の検討を中心に研究を進めた。以下に、その成果の概略を記す。 GaN:ZnOが水の分解に対して活性となるためには、酸化ルテニウムやロジウム-クロム複合酸化物などの助触媒微粒子をGaN:ZnO表面に導入する必要がある。したがって、GaN:ZnOによる水分解活性を向上させる上で、新規助触媒の開発は重要な課題である。このような理由で新規助触媒の開発を行った結果、貴金属ナノ粒子を酸化クロムで被覆したコア/シェル型ナノ粒子が、GaN:ZnOの水の分解を促進する新規助触媒となることをはじめて明らかとした。 GaN:ZnO光触媒)可視光応答性は、ZnO成分の寄与によって発現していることがわかっていたが、その詳細な起源については不明であった。GaN:ZnOによる水の可視光分解活性を向上させる上で、その可視光応答性)起源を明らかにすることは重要であるため、極低温における励起発光スペクトル測定により、その解明を試みた。その結果、GaN:ZnOの可視光応答性には、GaN)バンドギャップ内に生じたZn種によるアクセプター準位の存在が大きく関与していることを明らかとした。 一度合成したGaN:ZnOを空気中で再度加熱処理することで、表面近傍に存在する欠陥サイトの低減を試みた。その結果、加熱処理によってGaN:ZnOの水の分解活性は大きく向上し、その量子収率をそれまでの2.5%から5.9%に向上させることに成功した。本光触媒系の量子収率は、可視光で水を分解できる光触媒の中では現在のところ最高性能を誇っている。
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Research Products
(11 results)